社会科授業づくり講座2015年11月

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「素材をどう授業にいかしていくか」
日 時:2015年11月15日(日) 10:00~15:00
会 場: 東京学芸大学附属竹早中学校
資料代:500円
授業づくり11月講座チラシ(完成版).pdf
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◆午前の部(10:00~12:00)
 講師:春木 祐子さん(授業づくり講座実行委員・小学校 教諭)
 内容:【「人権の森 全生園」から学ぶ総合学習】

    全生園の目の前にある小学校で、ハンセン病や史跡を通して

    人権について学んだ授業の実践報告です。


◆午後の部(13:00~15:00)
 講師:江連 恭弘さん(高等学校 教諭)
 内容:【「戦後70年」に戦争を考えるために】

    戦後が戦後であり続けるためにも、過去の戦争をどう学ぶか。

    史料や証言を活用した授業づくりを考えます。

 

 

2015年11月授業づくり講座報告 
テーマ「素材をどう授業にいかしていくか」

参加者:11名(学生 2名  教員 4名  実行委員・顧問 5名)

(2016.1.13掲載)

1.報告者の感想

春木 祐子さん より

 今回、四年生の総合の実践で、多摩全生園での学習について報告させていただきました。学習してきた事をレポートにまとめてみて、改めてハンセン病の歴史や全生園の方々のこれまでの努力について学び直す事ができました。色々な校種の方からご意見、ご感想をいただき、これからも全生園との関わりを大切にした地域教材の開発について考えていかなければならないと強く感じました。貴重な報告の場をいただき、ありがとうございました。

 

江連 恭弘さん より

 今回、「『戦後70年』に戦争を考える」と題して、授業の一コマと日頃考えていることを話すことで、自身の授業を振り返り課題を確認する機会にもなりました。やはり、問題意識だけが先行していて、授業であつかう史資料や発問などは、もっとしっかり考え、丁寧に教材研究や授業づくりをしなければと思いました。

 授業は、「戦後70年」というある意味節目の年に、戦後が戦後でありつづける(新たな戦前にしないため)にはどうしたらよいのか、一教師として何かやらねば!と思いながらの実践でした。偶然ではあったのですが、シベリアに抑留された方との出会いがあり、あらためて戦争の実相に向き合うことになりました。さまざまな出会いと学びの場が、本当に大切なのだと感じています。午前中にお話された春木さんの「ハンセン病と人権」の授業も興味深く聞かせてもらいました。ハンセン病の問題も戦争の問題も、当事者の不在という現実が進行しているなかで、学校教育に求められているものは大きいと思います。

 これからも、「戦争」などの社会的課題を私自身が学び続けることを通して、人としての生存や尊厳について子どもたちとともに考えていきたいと思っています。

 

 

2.参加者の感想

・生徒たちに考えさせるための工夫がアンケートやワークシートを見てよくわかりました。参考にしていきたいと思います。自分の興味や関心にもとづいて教材研究をしていくことでより深く、広く、授業づくりに生かしていくことができるのだと痛感しました。また、自分の考えを一つの意見として、生徒に伝えていくことでは、生徒の考えをさらに深めるためになるのではないかと思ったので、「中立性」の問題はあるかもしれないが、伝えていきたいと感じました。

 

・江連先生の授業に対する「思い」の多様さに驚きました。せっかくの報告なのに、参加者が多くなくてとても残念だと感じました。

 

・佐久間さんという方の熱意のこめたハンセン病(全生園)を軸とした学校全体の学びを、春木さんが受け継がれたということ、まず感銘を受けました。小学4年生の子たちが元患者さんに対して「かわいそう」という捉え方から「すごい!」というまなざしに変わっていったこと、そして、自分たちが伝えていこうとしていることに大きな希望を感じました。この実践は青葉小で深め、地域にさらに広げてほしいと思います。

謙虚な江連さんの語り口でしたが、たくさんの実践を積み重ね、人間関係(先輩教員、同僚、生徒、保護者、地域)を大切にしておられることが伝わってきました。たくさんの大事な「決めゼリフ」を感じたご報告でした。

 

・ハンセン病、差別のことから人権を考える良い取り組みのお話を聞くことができて良かった。四年生の授業ということで難しい点もありながらも、最後は身近な人権について考える生徒もいてよかった。 資料をどのように集め活用していくのかを考えるよいきっかけでした。自分自身も収集しっぱなしで終わってしまうので反省しています。 全体を通じて感じたのが、地域のものを教材化していくことの大切さと難しさ。一番身近なところでも案外学ぶことは少ないので大切にしていきたい。

 

・戦争やシベリア抑留について生徒に考えさせるために、様々な資料を使って授業することの大切さを学びました。地域から戦争を考えることや、通う学校から歴史を考える等、具体的な授業実践方法を知り、参考になりました。「戦争を過去のものとしない」というワードはテレビや新聞でよく聞かれますが、どのようにすれば「過去のものとしない」ことができるのかということについては、考えていかなければならない点だと思いました。大変ためになるお話を、ありがとうございました。

 

 

3.11月講座担当実行委員・江川由香里 より

 11月講座は午前の部・午後の部とそれぞれ講師を招いての一日がかりの講座となりました。

 春木さんのハンセン病を通して考える人権の授業実践では、まず、綿密に組まれた授業計画のもと、それぞれの回に応じた様々な教材と提示の工夫に感銘を受けました。小学4年生の発達段階に応じた授業づくりは難しい面もあるようでしたが、ハンセン病患者を「かわいそう」と思うことだけで終わらせない、人権について今後も問い考え続けていくことの大切さを子どもたちに残した授業実践だと感じました。歴史の授業を踏まえたうえで、もう一度授業を行ってみたときの子どもたちの学びが気になります。またぜひお話を聞かせていただけたらと思います。

 江連さんの戦争を考える授業報告では、より戦争をリアルに捉え考えるための教材をたくさんご紹介いただきました。そのなかで、やはり重要だと感じたのが「加害」の面を伝えていくことでした。戦争の歴史には「加害」「被害」「抵抗」「加担」の4つの面が存在すること、その4つの面から戦争を生徒たちとどう学び、生徒たちの歴史認識をどう形成させていくか、とても考えさせられました。また、江連さんの日頃からのこだわりや教員という職業に対するお話しを聞くこともでき、大変興味深く、刺激ある時間となりました。

 「今年だから」ということで意識された内容の11月講座でしたが、今後もずっと考えていかなければならないテーマであることには変わりありません。今回の講座を通してそのような思いを再確認することができ、とても有意義な講座となりました。