八王子支部2018年5月例会

日 時:2018年5月19日(土) 午後2時~4時30分

会 場:台町市民センター(JR西八王子駅南口から徒歩12分)

報告者:西村美智子さん(元小学校教員)

テーマ:「憲法とフクシマ」~ “ 小さき人々” は、憲法に守られているか~

 国のあり方、行方を決める憲法の「改正」問題が大きな局面を迎えている昨今、未来を担う子どもや若者たちが、現憲法をしっかり学び、いろいろな場面で議論し、今後に向けて自分たちの思いや考えを表明していくことはとても大切なことだと考えます。その出会いや学びの場を誰にも保障しているのは、まずは学校・授業です。


 現行では、小学校6 年生の後半に初めて憲法学習をするようになっていますが、「18 歳選挙権」が現実になった今、もっと早い時期から日常の生活と関わらせて政治や憲法に触れさせていく必要があると思います。選挙権を得た18 歳が自信を持って投票できるよう時事問題等をきっかけに、地道に主権者教育を積み重ねていくことが大切ではないでしょうか。


 6 年生の社会科を担当した昨年度、何を題材に憲法学習を行っていこうかと考えていた年末、2017 年度のノーベル平和賞に国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN))が選ばれたことを知り、“今年は核兵器および原発事故による「核被害」を考えることを通して、憲法を学んでいこう”と決めました。そして、次のように授業を進めていきました。

 

1、サーロー節子さんの講演(全文)を読んで、感想や意見を出し合う。
「核抑止」論について考える。「核と人間は共存できるか」について話し合う。


2、「日本国憲法」前文、三原則、第9条、生存権条項第13条、第25条を中心に学ぶ。

 

3、“誕生「日本国憲法」”(DVD)を見て、「日本国憲法」はいかにして誕生したかを知る。
草案づくりに関わった“7 人のサムライ”の壮絶な闘い、復活した生存権条項「第25 条」


4、「チェルノブイリからフクシマへ~ノーベル文学賞作家スベトラーナ・アルクシェービッチの旅路」(DVD)から考える。なぜ一人ひとりの声を聞いていこうとしたのか。
<原発事故の被害者は何を奪われ、どんな生活をせざるを得なくなったか>

 

5、私たちが創る未来ー核なき世界へ小寺隆幸先生(原爆の図丸木美術館理事長)との授業

今、福島の子どもたちに何が起こっているのか<甲状腺ガン>、放射線の怖さ、原爆と原発、核戦争が何をもたらすか、核のない世界へ<私たちがつくる未来>


6、「この大地うばわれし人々」ー写真家・菊池和子さんのスライドトークを通して

7年目のフクシマの実情ー避難者数、解除後、関連死、甲状腺ガン、汚染ゴミ処分他

 

7、フクシマと憲法・政治
・政治は憲法の理念に基づいて、どんなことをしなければならないか
・私たちは主権者として、政治にどう関わっていく必要があるだろうか

 

8、「だれもが人間らしく生きられる社会と平和」学びをもとに自分の思いや考えを綴る。

 

 憲法学習の一つの事例として、具体的な学習内容や子どもたちの感想、意見、認識の変化等を報告しながら、「憲法をどう学んでいくか」いっしょに考え、話し合っていきたいと思います。教育に関わる方のみならず、多くの市民の皆さまのご参加をお待ちしています。

 

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