日本史部会2013年2月例会・感想

日 時:2013年2月16日(土)18:30~

場 所:筑波大学附属駒場中・高等学校

内 容:「ゲルニカから第二次世界大戦を学ぶ」

 高校世界史の授業で教材にゲルニカを用いた授業をしたいと計画しています。普段は講義形式の授業になってしまっています。そこで1年間の終わりとして、「ゲルニカ」から生徒が読み取りや考察をできる授業を展開したいと思っています。

 今回はその授業計画を報告し、どのようにすればより生徒たちがより深く第二次世界大戦そして戦争というものを考えていけるかみなさんと議論していければと思います。

 また歴史は世界史のみ担当しているため世界史の授業を通しての報告になります。ご了承ください。

 

会場から(2013.3.5掲載)

 年度最後の世界史の授業で、ピカソの「ゲルニカ」から第二次世界大戦、総力戦について生徒に少しでも具体的なイメージを持たせたい、という思いからつくられた授業プランでした。

 議論を重ねる中で、ゲルニカ誕生の背景や現在に至るまでこの絵がどのように語られてきたかといったことも紹介しながら、生徒自身による絵の読み取りを行わせるのがよいのではないか、重慶や東京の空襲などとの比較も必要ではないかといった提案が出てきました。

 実際、どのような授業となったのか。新年度の例会で報告してもらう予定です(世界部会でも報告予定)。

 

感想

 世界史の授業において「ゲルニカ」を用いるという試み、生徒たちに芸術作品を通して、視覚的かつ情緒的な題材により戦争を一旦抽象化して受け止め、そこから想像力を膨らませながら、より深く考えさせるという学びの方法論に、歴史教育の新たな可能性を感じました。

 生徒たちはこの活動を通して、芸術に関与する自らの感情の動きと、作品の底流にある思想を読み取る自らの高度な知性の働きを、自然の経験として感得することでしょう。歴史を学ぶことが単に文字や数字を記憶するだけのものでなく、想像力と知性を用いて、意志的に世界へと働きかける営みであるということを、生徒たちは知ることができるのではないかと思います。

 埼玉県東松山市にある原爆の図丸木美術館でも、県内の小学生たちは校外学習等で作品に触れながら、68年前の人類的悲劇を間接的に経験します。私たちは生徒諸君に、教材を通していかに歴史を経験させることができるのか、常に問い続けていなければならないのだと、改めて考えさせられました。この度のご提案に、心より感謝申し上げます。(M)